unofficial fan site

• gallery
• history
• tumblr

• Spotify

logotype by @BON_bbb517

賈詡 文和

「あんたは俺を愛しに来たのか。それとも俺を、呪いに来てくれたのか」

飄々と乱世を渡り歩いてきた策略家。計算高く的確な献策が得意。打つ手に失策無しとも評価されるほどだが必要悪として手を汚すことも厭わないため敵も多い男。自他共に認める悪人面で、天邪鬼。

海山（幽明）

「どうして私以外の誰かが、私の幸せを定めることができるんでしょう」

彷徨える幽鬼の女。賈詡の最初の妻だったが、彼の不在の間に賊に襲われ亡くなる。手厚い弔いによって仙界へ着くが、太公望との取引と西王母の憐みによって賈詡の元へ戻ることが叶う。

上記を基本として、賈詡さんの衣装に合わせていろいろな世界の賈詡海が居ます！例:用務員×地縛霊,魔法使い×妖精,賈詡さんの分裂

gif by @BON_bbb517
art by @e_tayu_568

• home

thank you @BON_bbb517 @suyapic @ayaneru @arabiannu

• home

出会い

「幽明と申します」賈詡はまず、その（自分よりも年嵩であるにも関わらず）威厳も何もない温和な顔に苛立った。なんて呑気そうな女なんだ。こんな女が俺の妻になるのか。しかし、憤りにも似た思いが絆されるのにそう時間は掛からなかった。

唯一の失策

賈詡の前にあったのは、辛うじて面目を保ったという様子の屋敷だった。破壊された門の残骸を踏み締めて、散々に散らばった家財を踏み締めて、聞こえる泣き声の方へと向かう。そこに居たのは、「ああ、賈詡様……っ！」妻の世話を頼んでいた信用の置ける侍女。「茂みの葉で肌が切れることにも怯える、そんな女だった」首筋の傷跡は浅かった。躊躇いが見て取れる傷跡は、らしいと言えばらしいが。泣きじゃくる使用人の手に濡らした布巾を渡し、横たわる妻の亡骸を跪いて抱き上げた。彼女の刺した短刀をゆっくりと抜けば、溢れる血はまだほんの僅かに温もりを残していた。刺されたような痛みが走り、思わず自分の胸を押さえる。「要らない勇気だった。と、言ったら怒るだろうがね。……本当に…………あんたがもっと、もっと……臆病なら」間に合っていたかもしれない、という言葉を飲み込んだ。すべてが手遅れだった。

再会

「……どうしました？」首を傾げる姿を前に、常ならば良く回るはずの男の口は固く閉ざされたままだ。「おかしな賈詡さん」そう言って笑う姿は、記憶にある女のものだ。忘れ難い、最愛の女のものだ。疑いようもなく、向けられる眼差しすらそのままだ。「あなたの元に、帰ってきました」信じろと言う方がおかしな出来事が伸ばす手の柔らかさを確かめながら、男の頬には涙が伝った。言葉は、出ないままだった。

享受

追ってくる歩幅の小ささが愛おしい。追ってくる、その眼差しが愛おしい。抱き留めてやりたくて堪らない気持ちで見つめ、何を思ったのか立ち止まった幽明を訝しめば、微笑みが返ってくる。俺が忘れたいつかの仕返しでもしてるのだと気付いた頃にはすぐそこにやって来ていた体を抱き留めるために腕を広げた。桃の香りがする。この女の匂いは、こんなものではなかったはずだ。どうだったかを思い出そうとして――息が詰まる。「幽明。あんたは、俺を愛しに来てくれたのか」それとも。「俺を、呪いに来たか」どちらでも構わなかった。今、俺の腕に抱かれてくれているのは愛しい愛しい俺の妻だ。まごうことなき、俺の心を捧げた女だ。俺に心を捧げた女だった。

• home